オーストラリアの介護制度を分かりやすく解説|在宅介護、介護施設、公的支援と費用

オーストラリアの介護は、できるだけ長く自宅で暮らし、必要な支援を少しずつ増やしていく考え方が基本です。

家族が買い物や通院を手伝い、掃除や食事の配達を公的支援で補い、身体介護や看護が必要になれば在宅サービスを増やします。それでも自宅での生活が難しくなった時に、Aged Care Homeと呼ばれる介護施設へ移るのが一般的な流れです。

日本の介護保険制度とは仕組みが大きく異なります。オーストラリアには、40歳以上が保険料を納める全国一律の介護保険はありません。連邦政府が税金を財源として制度を運営し、本人の状態、収入、資産に応じて、政府補助と自己負担を組み合わせます。

また、「公的な介護施設」という言葉にも注意が必要です。政府が費用を補助する施設は数多くありますが、その多くは政府直営ではありません。宗教・慈善団体などの非営利法人、民間企業、州政府や地方自治体などが運営し、登録された事業者へ連邦政府が補助金を支払います。

2025年11月1日には、権利を重視した新しいAged Care Actが施行され、在宅介護ではSupport at Homeが始まりました。制度名や費用の仕組みが変わったため、古いHome Care Packageだけを説明した記事では、現在の状況を正しく把握できません。

この記事では、一般的なオーストラリア人の介護事情、在宅支援、家族介護、短期介護、介護施設、公的補助、自己負担、施設の選び方、日本との違いまで、2026年時点の制度に合わせて詳しく解説します。

オーストラリアの介護制度とは?

オーストラリアにも、日本の介護保険のような制度がありますか?
高齢者介護への政府補助はありますが、日本の介護保険と同じ仕組みではありません。My Aged Careを通じて認定を受け、在宅支援や施設を利用します。

オーストラリアで高齢者介護を表す一般的な言葉はAged Careです。政府補助を受ける主なサービスは、次のように分けられます。

介護の種類利用する場面主な内容
在宅の基本支援少し手助けがあれば自宅で暮らせる掃除、買い物、食事、送迎、庭仕事、交流支援など。
継続的な在宅介護身体介護、看護、複数のサービスが必要Support at Homeによる介護、看護、リハビリ、福祉用具など。
短期介護退院後、家族の休養、急な事情レスパイト、Transition Care、機能回復支援。
施設介護自宅で安全に暮らすことが難しい居室、食事、清掃、身体介護、看護、生活活動。
終末期支援自宅や施設で最期の時間を過ごしたい在宅介護と州の緩和ケアを組み合わせた支援。

制度の入口となるのが、連邦政府のMy Aged Careです。本人や家族が申し込み、専門職によるアセスメントを受け、必要な支援と利用できる制度が決まります。

2025年11月1日には新しいAged Care Actが施行されました。高齢者を単に「サービスの受給者」として扱うのではなく、尊厳、自己決定、文化、プライバシー、安全、意思表明などの権利を制度の中心に置いています。

介護を提供する事業者は、政府、非営利法人、民間企業のいずれであっても、政府補助の対象サービスを提供するには登録と規制を受けなければなりません。

一般的なオーストラリア人の介護事情

高齢になったら、すぐ介護施設へ入る人が多いのでしょうか?
まず自宅での生活を続け、家事支援や身体介護を増やす人が一般的です。施設は、自宅での安全確保が難しくなった時の選択肢です。

できるだけ自宅で暮らす

オーストラリアの高齢者介護では、Ageing in Place、つまり住み慣れた自宅や地域で暮らし続けることが重視されます。

最初は家族、友人、近所の人が、買い物、通院、家の手入れを手伝います。その後、掃除、食事、庭仕事、送迎などの公的サービスを導入し、必要に応じて身体介護、看護、理学療法、福祉用具へ広げていきます。

郊外の一戸建てでは、段差、浴室、広い庭、車がなければ移動できない立地が問題になりやすく、早い時期に小さな住宅、アパート、リタイアメント・ビレッジへ移る人もいます。

家族は重要だが、家族だけで抱え込まない

配偶者や成人した子どもが介護の中心になる点は、日本と変わりません。ただし、子どもが別の都市や州に住んでいることも多く、毎日の介護を家族だけで担えない家庭は珍しくありません。

家族は、申請、事業者との連絡、通院、金銭管理、施設探しを担当し、日常の介護は訪問スタッフや施設職員と分担します。

介護者が休めるレスパイト・ケア、相談、カウンセリング、緊急時の代替介護を利用することも、介護を続けるための重要な準備と考えられています。

早めに住まいと意思決定を準備する

本人が元気なうちに、将来どこで暮らしたいか、誰に医療や財産の判断を任せるかを話し合います。

Advance Care Directive、Enduring Power of Attorney、Enduring Guardianなどの名称と手続きは州・準州ごとに異なります。認知機能が低下してからでは、本人が有効に書類を作れない可能性があります。

介護施設への入居は、空室、費用、地域、文化、家族の訪問しやすさを考える必要があります。転倒や入院をきっかけに急いで探すより、早めに候補を見ておく方が落ち着いて決められます。

段階よくある状況検討する支援
自立している家事や運転はできるが、将来が不安住み替え、緊急連絡、法的書類、地域活動。
軽い支援が必要掃除、買い物、食事、庭仕事が難しいCHSP、配食、送迎、家事支援。
継続的な介護が必要入浴、服薬、歩行、認知症への支援Support at Home、看護、福祉用具、レスパイト。
自宅生活が難しい夜間の安全、転倒、徘徊、常時看護Residential Aged Care、認知症対応施設。

My Aged Careと介護認定の流れ

対象年齢と条件

政府補助の介護サービスを利用するには、年齢だけでなく、日常生活でどの程度の支援が必要かを確認します。

一般的には65歳以上が対象です。アボリジナルおよびトレス海峡諸島民は50歳以上、ホームレスまたはホームレスになる危険がある人も50歳以上で、介護アセスメントの対象となる場合があります。

65歳未満の人は、原則として障害者支援、医療、NDISなど別の制度が優先されます。新しいAged Care Actでは、65歳未満で高齢者介護へ入れる条件が限定されています。

介護認定・アセスメント

本人、家族、医療機関などがMy Aged Careへ申し込みます。オンライン申請のほか、電話1800 200 422で相談できます。

申請後、アセスメント機関から連絡があり、通常は本人の自宅や現在の滞在場所で面談します。身体の状態だけでなく、次のような点を確認します。

  • 入浴、着替え、食事、トイレ、歩行
  • 掃除、洗濯、買い物、調理、庭仕事
  • 服薬、持病、転倒、痛み、視力、聴力
  • 記憶、判断、認知症、気分、孤立
  • 住まいの安全性、家族や介護者の状況
  • 本人が望む暮らし方と目標

家族、友人、通訳、支援者を同席させることができます。困っていることを控えめに伝えると、必要な支援が正しく認定されない場合があります。普段できないこと、危険だった出来事、介護者の負担を具体的に伝えます。

支援計画と事業者選び

アセスメント後、利用できる制度、サービス、予算区分などを記載したSupport Planが作られます。

認定を受けただけで、自動的に介護スタッフが来るわけではありません。本人または家族が、My Aged CareのFind a Providerで事業者を探し、空き状況、料金、サービス内容を確認して契約します。

介護施設の場合も、認定後に希望する施設へ連絡し、見学、空室確認、費用の説明、入居契約を進めます。人気の高い施設や特定言語に対応する施設では、待機が発生することがあります。

手順行うこと注意点
1My Aged Careへ申請本人の同意、連絡先、介護上の困りごとを準備。
2電話確認と面談予約通訳、家族、支援者の同席を依頼できる。
3対面アセスメント普段の生活、危険、介護者の負担を具体的に説明。
4認定結果とSupport Plan利用可能なサービスと条件を確認。
5事業者・施設を比較料金、空き、言語、品質、契約条件を見る。
6サービス開始内容や状態が変われば再評価を相談。

My Aged Careの介護アセスメントを申し込む

自宅で受ける介護と生活支援

Home Care Packageは、現在も新規利用できますか?
Home Care Packagesは2025年11月1日にSupport at Homeへ移行しました。軽度支援のCHSPは、少なくとも2027年7月まで継続予定です。

Commonwealth Home Support Program

Commonwealth Home Support Program、略してCHSPは、日常生活に少し手助けが必要な高齢者向けの基本的な在宅支援です。

掃除、買い物、食事、送迎、家の修理、庭仕事、社会参加、短時間のレスパイトなど、比較的単純なサービスを必要な範囲で利用します。

CHSPは現在も継続しており、Support at Homeへの移行は2027年7月1日より前には行わないとされています。

Support at Home

Support at Homeは、継続的または複数の介護ニーズがある人を自宅で支える制度です。2025年11月1日に、Home Care Packages ProgramとShort-Term Restorative Care Programmeを置き換えました。

継続的な支援には8段階の分類があり、認定されたニーズに応じて四半期ごとの予算が設定されます。利用者は登録事業者と相談し、予算の範囲でサービスを組み立てます。

介護計画を管理するCare Partnerが配置され、状態、目標、サービス、予算を定期的に確認します。一部を本人や家族が自己管理する方法もありますが、登録事業者の責任がなくなるわけではありません。

受けられる主なサービス

分野主なサービス
Clinical Supports看護、理学療法、作業療法、言語療法、栄養、足のケアなど。
Independence身体介護、服薬支援、移動、社会参加、送迎、レスパイトなど。
Everyday Living掃除、洗濯、食事の準備・配達、買い物、庭仕事、簡単な修理。
福祉用具・住宅改修歩行器、シャワーチェア、補助器具、手すり、段差解消など。
短期機能回復集中的な看護、リハビリ、生活機能の回復支援。
終末期自宅で過ごす人への追加介護。州の緩和ケアと併用。

在宅支援の自己負担

Support at Homeでは、政府が全額負担するサービスと、利用者が一部を負担するサービスがあります。

看護などのClinical Supportsには利用者負担がありません。IndependenceとEveryday Livingのサービスは、収入と資産に基づく負担率が適用されます。

事業者はサービスごとの料金を設定しますが、料金は合理的で、総額が分かりやすく、契約前に説明されなければなりません。My Aged Careと事業者のサイトで、よく利用されるサービスの料金を比較できます。

2026年10月1日からは、Support at Homeの身体介護がClinical Supportsへ移り、政府が全額負担する予定です。この記事を公開後に読む場合は、最新の適用日と料金区分を確認してください。

在宅介護は「現金が本人へ支給される制度」ではない

認定された予算は、登録事業者が提供したサービスへの支払いに使われます。使わなかった予算を自由な生活費として受け取れるわけではありません。

短期介護と家族介護者への支援

レスパイト・ケア

Respite Careは、家族介護者が休息、通院、旅行、仕事、冠婚葬祭などのために介護から離れる間、別の人や施設が高齢者を支えるサービスです。

自宅への訪問、デイセンター、地域活動、介護施設への短期入所などがあります。数時間から数週間まで、必要性と利用可能なサービスに応じて調整します。

介護者が急病やけがで介護できなくなった場合は、緊急レスパイトを相談できます。

退院後のTransition Care

Transition Careは、入院後に自宅へ戻るまでの回復を支える短期サービスです。看護、理学療法、作業療法、身体介護、服薬管理などを受け、自立した生活へ戻ることを目指します。

自宅、地域の施設、介護施設内の専用ベッドなどで提供されます。利用には、原則として退院前のアセスメントが必要です。病院のソーシャルワーカーや退院支援担当者へ早めに相談します。

機能回復と終末期の在宅支援

Support at HomeのRestorative Care Pathwayでは、最長16週間の集中的な看護やリハビリを利用し、筋力、移動、身の回りの動作を回復することを目指します。

End-of-Life Pathwayは、余命3か月以内と見込まれ、自宅で過ごしたい高齢者に追加の在宅介護を提供する仕組みです。州・準州政府の緩和ケア、GP、病院、家族介護と組み合わせて利用します。

Carer Gateway

Carer Gatewayは、家族や友人を無償で介護している人のための全国的な支援窓口です。

電話相談、カウンセリング、介護者同士の交流、コーチング、計画的レスパイト、緊急レスパイトなどを案内します。高齢者本人のMy Aged Careとは別に、介護している家族自身が相談できます。

支援利用する場面主な窓口
計画的レスパイト介護者の休養、旅行、用事My Aged Care、Carer Gateway
緊急レスパイト介護者の急病、事故、入院Carer Gateway 1800 422 737
Transition Care退院後に生活機能を戻したい入院中の病院、My Aged Care
カウンセリング介護疲れ、ストレス、孤立Carer Gateway
終末期支援自宅で最期を過ごしたいMy Aged Care、州の緩和ケア、医師

Carer Gatewayの介護者支援

オーストラリアの介護施設

Nursing HomeとAged Care Homeは違いますか?
現在の公的案内では、Aged Care Home、Residential Aged Care、Nursing Homeは、ほぼ同じ施設介護を指します。

Aged Care Homeとは?

Aged Care Homeは、自宅で安全に独立して暮らすことが難しく、日常生活や健康管理に継続的な支援が必要な高齢者の生活施設です。

日本語では介護施設、老人ホーム、介護付き施設、ナーシングホームなどと訳されます。オーストラリア政府の案内では、Aged Care HomeとResidential Aged Careが一般的な表現です。

入居にはMy Aged Careのアセスメントと施設介護の認定が必要です。病院が施設を自動的に決めるのではなく、本人や家族が複数の施設を比較して申し込みます。

施設で受けられるサービス

サービス内容
居住家具や寝具を備えた個室または相部屋、共用スペース。
日常生活食事、清掃、洗濯、光熱、生活活動。
身体介護入浴、着替え、トイレ、移動、食事、排泄。
看護服薬、傷の処置、健康観察、医療機関との連携。
生活・交流運動、外出、音楽、ゲーム、宗教・文化活動。
終末期本人の希望に沿った緩和ケアと家族支援。

施設には、24時間登録看護師を配置する義務があります。また、全国平均として、1人1日215分の看護・身体介護、そのうち登録看護師による44分のケアが基準となっています。

これは全国平均の目標で、全員が同じ時間の介護を受けるという意味ではありません。施設ごとの入居者の介護度に応じて目標が設定され、実績はStar RatingsのStaffing評価へ反映されます。

認知症ケアと専門ユニット

多くの介護施設は認知症の入居者を受け入れています。徘徊、夜間の混乱、行動変化などへの支援が必要な場合は、施錠された安全な専用区画、Secure Dementia Unit、Memory Support Unitなどを持つ施設を探します。

認知症専門を名乗っていても、職員配置、夜間対応、行動変化への方針、屋外へ安全に出られる環境には差があります。見学時に具体的な対応を確認してください。

リタイアメント・ビレッジとの違い

Retirement VillageやIndependent Living Unitは、比較的自立した高齢者が暮らす住宅です。介護施設ではなく、連邦政府のAged Care制度による施設介護とは別です。

敷地内に介護施設を併設するビレッジもありますが、住宅契約を結んだからといって、将来の介護施設入居が保証されるとは限りません。

比較Aged Care HomeRetirement Village
対象継続的な介護・看護が必要主に自立して暮らせる高齢者
政府の介護認定必要通常不要
介護職員常時の介護・看護体制住宅サービスが中心
費用介護費、生活費、居室費住宅購入・入居契約、管理費など
連邦の介護規制Aged Care Actの対象原則として州法による住宅制度

公的な介護施設はある?運営主体と政府補助

オーストラリアにも、州政府や地方自治体が運営する介護施設はあります。ただし、政府直営施設が介護の中心というわけではありません。

2025年6月30日時点では、介護施設サービスの59%を非営利組織、33%を民間組織、7.6%を政府組織が運営していました。

非営利組織には、教会、宗教団体、慈善団体、地域団体などが含まれます。民間組織には、上場企業や民間会社が含まれます。政府組織には、州・準州政府、地方自治体などが含まれます。

重要なのは、施設を誰が所有・運営しているかと、政府補助の対象かどうかは別だという点です。

非営利や民間の介護施設でも、登録されたAged Care Homeであれば、入居者の介護費に対して連邦政府から補助を受けます。本人は収入・資産に応じて生活費、介護の一部、居室費を負担します。

したがって、日本語で「公的介護施設」を探す場合は、政府直営だけに限定するより、次の条件で確認する方が実用的です。

  • My Aged Careに掲載された登録施設か
  • 政府補助を受けられる認定が使えるか
  • Star Ratingsと法令遵守状況
  • 料金とMeans Assessmentの扱い
  • 認知症、言語、文化、宗教、食事への対応
  • 家族が訪問しやすい場所か
運営主体特徴政府補助
非営利宗教、慈善、地域団体。施設数が最も多い。登録施設なら対象
民間企業大規模チェーンや地域企業。価格帯と設備はさまざま。登録施設なら対象
政府州・準州・地方自治体。地方や小規模施設にも見られる。対象
高級民間住宅リタイアメント住宅、サービス付き住宅など。施設介護とは限らない

「政府が補助する施設だから無料」という意味ではありません。政府補助があっても、基本日額、収入・資産に応じた負担、居室費、希望する追加サービスの費用が発生することがあります。

介護施設の費用と支払い方法

介護施設は、年金だけでも入居できますか?
収入と資産が少ない人には政府がより多く負担します。ただし、基本日額は原則として全員が払い、費用の計算にはMeans Assessmentが必要です。

介護施設の費用は、入居日、収入、資産、選んだ施設、居室価格、追加サービスによって変わります。

2025年11月1日以降に新しく入居する人には新しい料金制度が適用されます。それ以前から入居している人や、No Worse Off Principleの対象者は、以前の料金制度が続く場合があります。

基本日額

Basic Daily Feeは、食事、清掃、洗濯、光熱、施設管理などの日常生活サービスへ支払う費用です。収入や資産に関係なく、原則としてすべての入居者が支払います。

上限は独身者向けAge Pension基本額の85%で、毎年3月20日と9月20日に改定されます。2026年7月21日時点の上限は1日66.80豪ドル、年間では24,382豪ドルです。

収入・資産に応じた負担

新料金制度では、収入と資産に応じてHotelling ContributionとNon-Clinical Care Contributionを支払う場合があります。

Hotelling Contributionは食事、洗濯、清掃などの生活サービスへの追加負担です。Non-Clinical Care Contributionは、入浴、移動、生活活動などの非臨床的な介護への負担です。

看護や臨床的な介護は、新制度では政府が全額負担します。負担額はServices AustraliaによるMeans Assessmentで決まります。

居室・滞在費

介護施設へ入居する人は、入居前に施設と居室価格を書面で確認します。

収入と資産が少ない人は、政府が居室費の全額または一部を補助します。政府補助の対象にならない人は、施設と合意した居室価格を自分で支払います。

居室価格は、場所、部屋の広さ、専用バスルーム、建物、設備などによって大きく異なります。同じ施設でも部屋ごとに価格が違うことがあります。

RAD、DAP、RAC、DAC

略称意味特徴
RADRefundable Accommodation Deposit居室価格を一括で支払う。退去時に残額が返還される。
DAPDaily Accommodation Payment居室費を日額で支払う。家賃のように返還されない。
RACRefundable Accommodation Contribution政府補助対象者が一部を一括で負担する方式。
DACDaily Accommodation Contribution政府補助対象者が日額で負担する方式。
組み合わせ一括金と日額の併用一部を一括で払い、残額を日額で支払う。

2025年11月1日以降に初めて入居し、RADまたはRACを支払う場合、施設は残高に対して年2%を最長5年間差し引く仕組みがあります。そのため、従来のように一括金の全額が必ず返るとは限りません。

DAPは政府が定めるMaximum Permissible Interest Rateを使って計算され、2025年11月以降の新規入居者には年2回の指数調整もあります。

施設費はAge Pension、持ち家、配偶者の状況、資産売却、相続へ影響する可能性があります。契約前にServices AustraliaのFinancial Information Serviceや、介護費に詳しい独立したファイナンシャル・アドバイザーへ相談してください。

My Aged Careの介護施設費用

介護施設と事業者の選び方

Star Ratings

My Aged CareのFind a Providerでは、介護施設を検索し、最大3施設を並べて比較できます。

Residential Aged CareのStar Ratingsは1~5星で、次の4項目から総合評価が決まります。

  • Residents' Experience:入居者の体験
  • Compliance:法令と品質基準への適合
  • Staffing:介護・看護時間
  • Quality Measures:転倒、褥瘡、体重減少などの品質指標

総合評価だけでなく、各項目を見ます。設備が新しくても、職員配置や法令遵守の評価が低い施設があります。反対に、建物が古くても入居者体験や職員の定着が良い施設もあります。

施設見学で確認すること

確認項目見学時に聞くこと
職員夜間人数、登録看護師、離職、派遣職員、担当者の変更。
認知症専門区画、徘徊、夜間、行動変化、家族への連絡。
食事献立、選択、文化食、嚥下、食事介助、間食。
医療GP、薬局、歯科、救急搬送、終末期、病院との連携。
生活外出、庭、活動、宗教、面会、夫婦での入居。
居室専用バス、家具、持ち込み、冷暖房、インターネット。
費用基本日額、居室価格、追加サービス、返金・退去条件。
文化・言語日本語職員、通訳、日本食、家族との連絡方法。

予約された見学だけでなく、食事時間や午後の共用スペースの様子を見ると、普段の雰囲気が分かります。臭い、呼び出しへの反応、入居者への話し方、職員同士の連携も確認します。

利用者の権利と苦情相談

新しいAged Care Actの下で、利用者には、安全で質の高い介護、尊厳、プライバシー、文化とアイデンティティの尊重、情報を得ること、意思決定へ参加すること、支援者を登録することなどの権利があります。

問題が起きた場合は、まず事業者の担当者や施設管理者へ伝えます。解決しない場合は、Aged Care Quality and Safety Commissionへ苦情を申し立てられます。

Older Persons Advocacy Network、OPANは、政府補助の介護を利用する高齢者と家族へ、無料で独立した相談・権利擁護を提供しています。

緊急の危険、暴力、重大な放置がある場合は、施設内の通常の苦情手続きだけで済ませず、警察、救急、医療機関、規制機関へ連絡してください。

契約を急いで署名しない

居室価格、追加サービス、退去条件、代理人、医療判断、個人情報の共有範囲を確認します。分からない項目は、家族、OPAN、法律専門家、ファイナンシャル・アドバイザーへ相談してください。

日本の介護制度との違い

日本とオーストラリアは、どちらも在宅生活を重視し、状態が重くなれば施設介護を利用します。しかし、財源、認定、負担、施設の位置付けは異なります。

比較項目オーストラリア日本
制度の基本税を財源とするAged Care制度公的介護保険制度
保険料介護専用の全国一律保険料はない40歳以上が介護保険料を負担
窓口連邦政府のMy Aged Care市区町村、地域包括支援センター
認定介護アセスメントとSupport Plan要支援・要介護認定
在宅支援CHSP、Support at Home訪問介護、通所、福祉用具など
本人負担サービス区分、収入、資産で変わる原則1~3割と居住・食費等
施設運営非営利、民間、政府。政府補助を受ける登録事業者社会福祉法人、医療法人、民間等。施設種別で制度が異なる
居室費RAD・DAPなど独特の支払い方式月額の居住費や入居一時金など施設により異なる
家族介護者Carer Gateway、レスパイトなど自治体・介護保険による相談、短期入所等

オーストラリアは収入と資産の確認が重要

日本の介護保険では、介護度と所得によって自己負担が変わります。オーストラリアでは、介護ニーズに加えて、収入と資産のMeans Assessmentが在宅支援や施設費へ大きく関わります。

特に持ち家、配偶者、Age Pension、居室の一括金をどう払うかは、費用計算へ影響します。

施設の名称だけでは比較できない

日本の特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅を、そのままオーストラリアの施設名へ置き換えることはできません。

Aged Care Homeなのか、Retirement Villageなのか、Supported Accommodationなのかを確認し、介護認定、24時間看護、政府補助、契約法がどの制度に属するかを見ます。

家族が施設を決めるのではなく、本人の権利を中心にする

家族の意見は重要ですが、新しいAged Care Actは本人の希望、選択、文化、支援付き意思決定を重視します。

本人が判断できる間は、家族が善意であっても一方的にサービスや施設を決めるのではなく、本人へ分かる方法で説明し、本人の意思を確認します。

日本語・通訳・文化に配慮した介護

英語に不安がある高齢者は、My Aged Careへの電話やアセスメントで通訳を利用できます。

TIS Nationalの131 450へ電話し、「Japanese」と伝え、My Aged Careの1800 200 422へつなぐよう依頼します。家族が代わりに話す場合も、本人の同意や登録された支援者の手続きが必要になることがあります。

介護事業者を選ぶ時は、日本語を話す職員がいるかだけでなく、次の点を確認します。

  • 日本語でのケアプラン説明と緊急連絡
  • 日本食、米、魚、味噌汁、箸への対応
  • 入浴、排泄、着替えへの文化的配慮
  • 宗教、習慣、家族関係、終末期の希望
  • 認知症で英語を忘れ、日本語へ戻った時の対応
  • 日本語のテレビ、新聞、活動、地域団体との交流

My Aged CareのFind a Providerでは、言語、文化、宗教などの専門対応を絞り込めます。専門対応の表示があっても、常時日本語職員がいるとは限らないため、直接確認してください。

本人や家族が制度を理解できず、事業者との話し合いが難しい場合は、OPANの無料アドボカシーを利用できます。通訳を付けて相談することも可能です。

必要な支援連絡・確認方法
My Aged Careの日本語通訳TIS National 131 450から1800 200 422へ接続。
家族を支援者として登録申請時またはMy Aged CareでRegistered Supporterを設定。
日本語対応事業者Find a Providerで検索し、勤務時間と対応範囲を直接確認。
権利擁護・契約相談OPAN Aged Care Advocacy Line 1800 700 600。
家族介護者の相談Carer Gateway 1800 422 737。

本人の言葉で意思を残しておく

病気、認知症、終末期に備え、日本語と英語の両方で、食事、医療、宗教、面会、延命治療、財産管理などの希望を整理しておくと、家族と職員が判断しやすくなります。

法的書類の名称と要件は州・準州で異なるため、居住地の公式案内や弁護士へ確認してください。

オーストラリアの介護に関するよくある質問(FAQ)

オーストラリアの介護サービスは無料ですか?

無料とは限りません。

オーストラリア政府は、認定された在宅介護や介護施設へ多額の補助を行っていますが、利用者にも自己負担があります。

在宅介護では、看護などのClinical Supportsは政府が全額負担し、家事や生活支援は収入と資産に応じた負担となります。

介護施設では、基本日額、収入・資産に応じた負担、居室費、希望する追加サービス費が発生する場合があります。

負担額は個人ごとに異なるため、My Aged CareとServices AustraliaのMeans Assessmentで確認してください。

公的な介護施設や政府直営の老人ホームはありますか?

州政府や地方自治体が運営する介護施設はありますが、施設全体の中では少数です。

2025年6月末時点では、介護施設サービスの約59%を非営利組織、約33%を民間組織、約7.6%を政府組織が運営していました。

非営利や民間の施設でも、政府登録を受けたAged Care Homeであれば、連邦政府から介護費の補助を受けます。

「政府直営か」だけでなく、政府補助の対象、Star Ratings、法令遵守、費用、必要なケアへの対応を確認してください。

Home Care Packageは現在も使われていますか?

Home Care Packages Programは、2025年11月1日にSupport at Homeへ移行しました。

Support at Homeでは、継続的な支援を8段階に分類し、四半期ごとの予算を使って介護、看護、生活支援などを組み合わせます。

軽度の支援を提供するCommonwealth Home Support Programは現在も継続しています。

CHSPのSupport at Homeへの移行は、2027年7月1日より前には行わない予定です。

介護施設とリタイアメント・ビレッジは同じですか?

同じではありません。

Aged Care Homeは、継続的な身体介護や看護が必要な人のための施設で、My Aged Careの認定が必要です。

Retirement Villageは、主に自立して暮らせる高齢者向けの住宅で、連邦政府の施設介護制度とは別です。

介護施設を併設するビレッジもありますが、住宅へ入居すれば将来の介護施設入居が自動的に保証されるわけではありません。

介護施設へ入る時に自宅を売る必要がありますか?

必ず売却しなければならないわけではありません。

居室費は、一括金のRAD、日額のDAP、または両方の組み合わせで支払えます。政府補助の対象者はRACやDACとなります。

持ち家はMeans Assessment、Age Pension、配偶者の居住、相続などへ影響する可能性があります。

売却、賃貸、保有のどれが適切かは家庭ごとに異なるため、契約前に独立したファイナンシャル・アドバイスを受けてください。

家族が介護に疲れた時に利用できる支援はありますか?

レスパイト・ケア、Carer Gatewayの相談、カウンセリング、緊急レスパイトなどがあります。

レスパイトは、自宅、デイセンター、地域活動、介護施設への短期入所などの形で利用できます。

介護者が急に病気やけがで介護できなくなった場合は、Carer Gatewayへ緊急レスパイトを相談できます。

Carer Gatewayの電話番号は1800 422 737です。高齢者本人の介護認定とは別に、介護者自身が相談できます。

日本語でMy Aged Careへ相談できますか?

TIS Nationalを通じて日本語通訳を利用できます。

131 450へ電話し、「Japanese」と伝え、My Aged Careの1800 200 422へ接続するよう依頼してください。

アセスメントにも通訳や家族を同席させることができます。

日本語対応の介護事業者や施設を探す場合は、My Aged CareのFind a Providerで文化・言語対応を検索し、実際の職員配置を直接確認してください。

介護施設の質は、どのように比較できますか?

My Aged CareのFind a ProviderとStar Ratingsを利用できます。

Star Ratingsは、入居者体験、法令遵守、職員配置、品質指標の4項目から、1~5星で評価されます。

総合評価だけでなく、ComplianceとStaffingの評価、最近の規制上の問題、入居者の意見を確認してください。

最終的には施設を見学し、職員の対応、食事、清潔さ、夜間体制、認知症ケア、料金を確認して決めることが大切です。

まとめ

オーストラリアの介護は、できるだけ自宅で暮らし続け、必要に応じてCHSP、Support at Home、レスパイト、短期機能回復、施設介護へ支援を広げる仕組みです。

介護施設は政府直営が中心ではなく、非営利団体と民間企業が多くを運営しています。ただし、登録施設には連邦政府が介護費を補助し、本人の収入と資産に応じて負担を調整します。

制度を利用する最初の窓口はMy Aged Careです。介護認定、事業者選び、費用確認、施設見学には時間がかかります。本人が元気なうちから、住まい、財産、医療、代理人、家族の役割を話し合っておくことが、急な入院や認知症に備える現実的な準備になります。

オーストラリアの介護に関する参考情報

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トラベルドンキー

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トラベルドンキーは、海外の各都市から出発・催行されるツアーを取り扱う、海外現地ツアー専門サイトです。

オプショナルツアーと一般的に呼ばれている、日本語ガイドの付く日帰りツアーの他、英語ガイドで行われるツアー、海外現地出発・解散の宿泊を伴う周遊小旅行、マリンスポーツ・乗馬・スカイダイビング等のアクティビティ等も取り扱っています。