オーストラリアにおける新型コロナウイルス、現在の感染状況とワクチン接種進行状況

徹底的な水際対策により、世界的に見ると新型コロナウイルスの封じ込めに成功し、事実上の新型コロナウイルス・ゼロ戦略を取るオーストラリア、そのオーストラリアにおける現在の新型コロナウイルスの感染状況とワクチン接種の現在地をオーストラリアはゴールドコーストから現地在住者がレポートします。

オーストラリアの現在の感染状況

  市中感染者(過去7日間) 帰国者感染者(過去7日間) 現在感染者 累計感染者
オーストラリア全体 22 63 149 30,366
オーストラリア首都特別区 0 0 0 124
ニューサウスウェールズ州 15 16 55 5,654
ノーザンテリトリー準州 0 1 2 176
クイーンズランド州 0 16 32 1,673
南オーストラリア州 0 10 7 788
タスマニア州 0 0 0 234
ビクトリア州 7 19 51 20,697
西オーストラリア州 0 1 2 1,020

2021年6月22日現在: Department Health, States & Territories Report

2021年6月上旬の段階では、ここオーストラリアでは市中感染の発生は限定的となっており、感染者の殆どは海外からの帰国者となっておりましたが、5月下旬にビクトリア州で発生した市中感染、6月中旬にニューサウスウェールズ州で発生した市中感染、これらの市中感染により、6月23日現在市中感染の広がりに予断を許さない状況となっております。

ビクトリア州で発生した市中感染に関しては、市中感染発生・発覚からロックダウン実施までのスピード感もあり、6月22日発表の感染者レポートではビクトリア州内での過去24時間市中感染者は0名となっており、大きな広がりには至らず、ビクトリア州との州境を閉鎖していた他州も州境の再オープンを順次決定して来ています。

但し、6月中旬に発生したニューサウスウェールズ州の市中感染に関しては、シドニー大都市圏内東部の人気エリアで人が多く集まるボンダイ・ジャンクションが起点となっている事もあり、6月23日現在この市中感染に端を発する感染者数が21名に上り、今後の動向に予断を許さない状況となっております。

ビクトリア州で発生した市中感染は、海外からの帰国者が滞在している隔離ホテルからのウイルス漏洩と判定、ニューサウスウェールズ州で発生した市中感染に関しては、国際線勤務の乗務員を送迎している運転手が感染元とされており、実質的鎖国政策による厳しい水際対策を取るオーストラリアで今までに発生している市中感染の殆どが帰国者隔離ホテルからの漏洩及び海外帰国者に付随する事案からの発生となっている事から、ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州では、海外帰国者専用の隔離施設の新規建設議論が連邦政府との間で盛んに行われています。

オーストラリアのワクチン接種進行状況

所管地 過去24時間ワクチン接種回数 ワクチン合計接種回数
連邦政府 59,553 3,988,286
オーストラリア首都特別区 1,180 73,745
ニューサウスウェールズ州 18,045 694,125
ノーザンテリトリー準州 1,361 52,240
クイーンズランド州 13,944 448,225
南オーストラリア州 8,115 189,565
タスマニア州 1,771 98,552
ビクトリア州 20,031 926,876
西オーストラリア州 4,643 247,770
総合計 128,643 6,719,384

2021年6月21日現在: Australian Government Department of Health (Australian Immunisation Register and self reported data)

ワクチン接種回数は全豪で約670万回弱、全人口約2,500万人の約27%に留まっております。

当初の連邦政府発表の予測と比較するとその接種回数に遅延が発生しており、その要因として欧州からのワクチン到着の遅延アストラゼネカ製ワクチンの血栓問題等の諸要因が上げられますが、特にアストラゼネカ製ワクチンの血栓問題はオーストラリアでは大きな問題となっております。

このアストラゼネカ製ワクチン接種に起因するとされる血栓問題により、オーストラリア連邦政府は2021年4月8日「50歳未満の国民はファイザー製ワクチンの接種を推奨する」との発表を行い、アストラゼネカ製ワクチンは50歳以上に限られておりましたが、その後アストラゼネカ製ワクチン接種による血栓症の発症が50代でも発生し、40代及び50代の女性各1人の死亡事案が発生した事により、2021年6月17日ワクチン接種に関するオーストラリア技術諮問グループであるAustralian Technical Advisory Group on Immunisation(ATAGI)は、アストラゼネカ製ワクチンの接種適用年齢を50歳以上から60歳以上に変更する事を推奨する旨の発表を行っております。

オーストラリア連邦政府はこのATAGIからの勧告を受け入れ、50歳から59歳までの年齢層に該当する人はファイザー製ワクチンの接種が推奨及び適用され、アストラゼネカ製ワクチン接種は60歳以上の方に限定されるに至っております。

但し、50歳から59歳の方で既にアストラゼネカ製ワクチンの1回目接種を受け、血栓症の発症が無い場合は、2回目のワクチンもアストラゼネカ製ワクチンを受けるよう推奨されます。

今回の発表に伴い、オーストラリア連邦政府のグレッグ・ハント保健相からは、「2021年末までにワクチン接種を希望する全員に接種を済ませる予定に変更は無い」旨の発表が行われております。

このようなワクチン接種から発生する要因と共に、ワクチン接種の遅延の一つの要因として、オーストラリア国内での感染者を抑え込んでいる事により、「ワクチン接種をしなくても大丈夫では?」と考えられ、ワクチン接種希望者の減少が発生しているのでは無いかとの危惧もあります。

このような事態を鑑み、オーストラリアのナショナル・フラッグ・キャリアであるカンタス航空では、ワクチン接種者に対し、抽選で1年間無制限の乗り放題チケット1,000ポイントのフライトバウチャー及びクレジットを提供するなどのワクチン接種を奨励するインセンティブを実施するとの発表をしています。

本情報の注意事項

掲載されている情報は執筆時のものです。特に新型コロナウィルスの感染状況や水際対策に関しては、日々その感染人数、手続き、対策は変化していますので、現在の状況と異なっている場合もあります。

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